ラノベ書評 『賭博師は祈らない』 著:周藤蓮
お久しぶりです。そういえばブログをやっていたなぁ、と思って、
最近読書の量がとても増えたので、読んだ本のレビューでもしていこうかなと考える次第。
今回読ませていただいたのは、こちらの作品
- 作者: 周藤蓮
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2017/05/10
- メディア: Kindle版
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タイトル:賭博師は祈らない
著:周藤蓮
イラスト:ニリツ
電撃大賞で見事金賞を受賞した作品で、魅力的なタイトルと麗しいイラストに目を惹かれ、購入を即断。
いろいろ実生活がごちゃごちゃしてひも解くまでに時間がかかってしまいましたが、一度ページを開いてからは、世界観に引き込まれるかのようにするすると読み切ってしまいました。
著者である、周藤蓮さんについてはの情報はグーグルを訪ねても、twitterが出てくるばかりだったのですが、イラストレーターである、ニリツさんの方は、pixivやご自分のHPで2008年から活躍しておられるご様子。
ところで、この本、実は僕が見つけた訳ではなく、さる友人からオススメされたのが事の始まりでした。
友人「18世紀イギリス/奴隷/褐色/賭博の属性が付いたラノベあるねんけど」
僕「読むに決まってるやん!」
という流れ、タイトルを検索して、表紙も見て購入を決定した訳です。
もうね、18世紀イギリス、奴隷の時点で読まない訳ないのに、それに加えて、褐色+賭博、って……
読むしかないじゃん!
という訳で、レビューは以下から始まります。多少のネタバレを含みますので、ご注意ください。
世界観
世界観は先ほど紹介した通り、18世紀のイギリスはロンドン。どんな時代かと言いますと、酒と賭博が大流行していた時代です。農業革命に続き、イギリスでは工業革命が起こり、熾烈な植民地競争や、それに支えられた重商主義が蔓延しています。
つまり、ロマンの塊。ちょっと前にアニメが放送されていた、プリンセス・プリンシパルもこの年代感の話ですかね。
いたるところでサイコロやカードが流行し、老いも若きも貴賎も問わず、博打に熱狂していました。
ストーリー
主人公ラザルス=カインドはロンドンに住む賭博師。
賭博師といえば、一般的なイメージでは、イカサマを使って大金を勝ち逃げする、というようなイメージがあるかもしれませんが、ラザルスのスタンスは全くの真逆で、地力で以てカモから少しずつ稼ぐというもの。
それゆえ、ついたあだ名は「ペニー・カインド」。
とはいえ、これは作中でも語られているように非常に理に適っていて、大金を稼げば胴元(今回は賭場)側から目を付けられるし、おまけにイカサマまですれば報復に遭うのは必至。それを避けるために、胴元から嫌われないために、毎日毎日小銭を稼ぐ日々を過ごしているのでした。
そんなある時、意図せぬ大勝ちをしてしまい、胴元から目を付けられるのではないかと懸念したラザルスは、賭場が併設しているマーケットで買い物をしてお金を還元しようと考えます。
できるだけ大きな買い物をしようと思い、いまある商品の内一番高いものを頼んだところ、なんと運ばれてきたのは、
奴隷
でした。
その奴隷が、表紙にもなっている、ヒロイン・リーラ
。褐色の肌の示す通り、植民地貿易によりイギリス本国に運ばれてきた奴隷ですね。アフリカ大陸の出身かと思ったんですが、18世紀のイギリスにはアフリカ植民地はなかったはずだし、作中でどうやら南アジアあたりの出身らしいことが触れられます。
「奴隷」と聞くと、鞭でビシバシ叩かれ重たい石を運ばされるイメージですが、これまた必ずしもそういう訳ではなく、例えばハウスメイドのような家内奴隷もいましたし、労働を任されるだけで家族同様の扱いを受ける奴隷もいました。
しかし、リーラの奴隷としての目的は、いわゆる「性奴隷」というもので、男性の愛玩用の道具としての処置を施され、声さえ発せられない状態でラザルスの下へ届けられます。
賭博師として歪な生き方をするラザルスと、奴隷として運ばれ歪な生き方を強要されたリーラの物語――それが、「賭博師は祈らない」
歪同士のふたりがどのような生き方を選択するのか、気になる方は、ぜひ一度お手に取ってみてください。
1巻で個人的なオススメは、ラザルスが、自分のスタンスを捨ててまで、本気で大勝ちを目指すシーン。なぜそんな暴挙に出たのか、気になる方も、ぜひ一度読んでみてくださいな。
以上、「賭博師は祈らない」のレビューでした。
- 作者: 周藤蓮
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2017/05/10
- メディア: Kindle版
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